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 『ハイドアウトとレッドアイ』
 
 
  
 きしゃばのバー、ハイドアウトに飲みに行くようになったのは
 もう何年前だろう。
 
 当時、僕は、
 そのBarの、目の前に住んでおり、
 
 近い、安い、そして
 
 素っ気ない、打ちっぱなしの店に、
 たまに飲みに行った。
 
 よく一緒に行ったのは、
 ギター仲間であり、友人である先輩H氏
 
 また、この人が近所で、
 ハイドアウトの数階上に、住んでいたものだから
 タチが悪い。
 
 連れ立っては、よく行った。
 
 そのときハマっていたものが、
 
 レッドアイ
 
 である。
 
 何のことは無い。
 
 ビールと、トマトジュースを
 5:5で
 そそいだものである。
 
 おつまみはやはり、
 
 フラれた話だろう。
 
 これほど痛くて、面白い話は無い。
 
 片方は痛い、片方は、それが、可笑しくてしょうがない。
 
 それが、最高のアテである。
 
 その、飲み会に限って言うならば
 
 上手くいっている話など、なんのアテにもならない。
 
 片方はシアワセで、しょうがないが、
 片方は、指をくわえて聞くしかないのだから。
 
 少なくとも、男同士の
 お酒のアテにはふさわしくない。
 
 時にはうらやましがり、時には、笑いながら
 ついつい夜が更けていった。
 
 しかし、
 
 人間、好きになればなるほど、
 おかしなことを言ったり
 おかしなことをしてみたり
 
 真面目にやればやるほど
 滑稽でトンチンカンである。
 
 そして、明日また会おう
 
 と言って、補償されてなどいない明日の
 約束をして
 
 店を後にする。
 
 朝起きた時に、生ビール3杯と
 焼酎2杯と
 レッドアイ2杯の
 
 二日酔いに悩まされるとも知らず。
 
 まったく、たいしたブルースである。
 
 さて、次の一杯目のレッドアイは、
 いったい、どんな味がするのだろうか。
 
 出来れば苦味が少なめであることを
 
 今は、願うしかできないが。
 
 
 
  
 
 
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